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イエレン議長による量的緩和の振り返り

      2018/04/14

日本が量的金融緩和から脱却するときにも同じような手法が用いられる可能性があるため、イエレン議長のスピーチを読んでおくといいなと思いました。内容はとても分かりやすくて面白いです。

長期金利を下げるための資産買い入れ

中央銀行は、通常は無担保コールレート等をいじることで、短期金利に働きかけ、長期金利にも緩やかに影響を与えます。

たとえば景気が下向きになってきた場合には、短期金利を下げるように働きかけることで、長期金利にも下方圧力をかけることができます。金利を引き下げるのは、一般的に景気の後退局面においては信用収縮といって、世の中のお金の量が減るという現象が生じている場合が多く、金利を引き下げることで融資を得やすくする等、世の中にお金が出回りやすくするためです。

しかし、リーマンショック以降のアメリカは、これ以上の短期金利引き下げ余地がなかった(ゼロ金利)という状況でした。

そこで、FEDは長期国債をバンバン買い入れるということを行いました。

長期ものの国債には期間プレミアムが乗っています。国債の買い入れは、この期間プレミアムを剥ぎにいくことで、長期金利を下げる効果を持っていたとイエレン議長は振り返っています。

長期金利は,部分的には短期金利の将来経路に対する金融市場参加者の期待を反映しています。したがって,こうした期待に影響するFOMCのコミュニケーション,つまりは大不況以降,会合後のステートメントにおいて強化された金利のフォーワード・ガイダンスを行ったことなどですが,これにより長期金利に影響を与えることができます1 。それに加え,長期金利には,長期証券に関する金利リスクを負う投資家が要求する補償であるところの期間プレミアムが含まれています。Fedが長期証券を公開市場で買い入れる際,人々が購入できる証券の残量が少なくなるため,これらの証券の価格は押し上げられて利回りが低下し,その利回りに埋め込まれている期間プレミアムも低下します2 。いくつかの研究では,私たちの金利のフォーワード・ガイダンスと資産買入れが相当程度長期金利を減少させたことが明らかになっています3 。

量的緩和の状況下で短期金利に働きかける方法

先述の通り、基本的にFEDはFF金利と呼ばれる銀行間の準備金不足をやりとりする部分の金利を調節する機能によって、短期金利に働きかけます。

しかし、量的緩和によって銀行から長期国債を買い入れているため、銀行は金余りの状態となっていました。

金余りの状態では、銀行が準備金不足となって他行とお金をやりとりする必要がありません。よって、FF金利に働きかける方法が通じないのではないかという懸念がありました。

しかし、FEDは超過準備に対して払う利払いを引き上げることで、短期金利に上昇圧力を掛けられるという算段を立てて実行に移し、その結果は想定通りのものとなりました。

イエレン議長は以下のように述べています。

危機以前,FOMCはフェデラルファンド・レート,すなわち超過準備を持つ銀行が準備金を必要とする銀行に貸出を行う際のレートを,銀行システムから少額の超過準備を取り除くことで引き上げることができました。そうすることによってフェデラルファンド・レートの上昇につながるのは,何よりもまず超過準備がそれまでよりも希少になるからです。これは直感的に考えれば単純な話です。つまり,FOMCは準備金市場の状況を引き締めるというシグナルを送ることで,市場における準備金取得の費用であるところのフェデラルファンド・レートが上昇するというものです。そのほかの市場の金利もこれに応じて上昇することになります。

危機後にはしかしながら,Fedの大規模資産買い入れは,Fedに対して証券を販売する銀行の口座に入金するという形で銀行システムへの準備金の追加することで行われましたので,準備金は豊富にありました。さらに,調達した長期債券を売却しないというFOMCの決定により,準備金は予測可能な将来にわたって豊富であり続けると見込まれました。したがって,金融緩和を縮小するときに至った際,FOMCにとっての大きな問題は準備金があり余っている環境においてどうやってフェデラルファンド・レートを引き上げるかというものでした10 。この問題に対する解答のひとつの重要な糸口となったのは,超過準備に利払いを行うというFedの権限でした。議会はFedに対してこの権限を2006年に付与しましたが,その発効は2011年以降とされていました。しかし,2008年秋,議会はこの発行期日を2008年10月に前倒ししたのです。

超過準備に対して利払いを行う権限を持つことは,銀行制度内における超過準備の量にかかわらずFedがフェデラルファンド・レートに影響を与えられることを意味します。この新たな枠組みの仕組みはごく単純です。すなわち,銀行は通常自行がFedから得られる利子とほぼ同じかそれ以上でしか短期貸出をおこないません。したがって,Fedが支払う利率を引き上げる場合,そのほかの短期貸出金利も同様に上昇することが見込まれます11 。短期金利引き上げのためのこの新たなアプローチはうまくいっています。というのは,2015年12月以降,私たちは超過準備に対する支払利率とフェデラルファンド・レートの目標範囲を100ベーシス・ポイント引き上げていますが,これにより実際のフェデラルファンド・レートも上昇しています12 。

長期金利が正常に上がるためには資産圧縮が必要

これはひとつめの裏返しでもあるのですが、短期金利に働きかけるのに合わせて、長期金利が正常に持ち上がっていくためには、資産を圧縮する必要があります。

なぜなら、先ほども書いたように、量的緩和の状況下では、FEDが長期金利を大規模に買い入れることによって、長期金利の期間プレミアムが剥がされているからです。

そのため、FEDは利上げを数回行なった後、利上げに先立って、バランスシートの圧縮(買い入れている債券の量を減らすこと)を行なっています。

また、バランスシートの圧縮時には、計画的に行うことによって、長期金利が急激に跳ね上がらないようにコントロールが可能だとイエレン議長は述べています。これは量的緩和開始時にフォワードガイダンスを示すことで、一気に長期金利を引き下げられたのと比べると逆説的です。

いくつかの要素は,私たちの証券保有による期間プレミアムに対する下向きの圧力の薄まりは,証券保有の縮小に応じで段々とした形でしか進行しないことを示唆しています。例えば,すでに指摘した通り,バランスシートの縮小を資産の売却ではなく元金支払いによる再投資を削減する形で行うという私たちの意図は何年にもわたって伝達されています。したがって,バランスシートの縮小計画が始まったことによって期間プレミアムが急上昇するということは私たちは想定していません。さらに,私たちの証券保有における満期の分散により,流出による証券保有サイズの通常化には数年を要することになっています15 。

全文を読みたい方は101経済教室様をご覧ください。

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