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非定額課金ビジネスにおけるLTVの計算モデルに関する考察

   

以前、ユニットエコノミクスとLTVについて、まとめました。

今回は、定額課金ビジネス以外におけるLTV(ライフ・タイム・バリュー)の計算モデルについて考えてみたので、備忘として考察を書き残しておきます。

定額課金ビジネスとLTV(ライフ・タイム・バリュー)

まずは、定額課金ビジネス以外のビジネスモデルに進む前に、定額課金モデルにおけるLTVの計算を復習します。

定額課金ビジネスとは

定額課金ビジネスとは、「Netflix」や「Amazon Prime」のように、「月額○円」あるいは「年間○円」という定額の課金を行うビジネスです。

定額課金ビジネスであれば、ユーザーの属性等と無関係にARPU(月間のユーザー1人あたり収益)が決まるため、非常に単純にLTVを計算することができます。

LTVの計算式

定額課金ビジネスにおけるLTVの計算式は、以下の通りです。

【月額課金の場合】

ARPU(月間利用料) ÷ 月間解約率

【年間課金の場合】

ARPU(年間利用料) ÷ 年間解約率

どちらも同じで、その期間に課金する額を解約率で割ってやるだけです。

たとえば、月額3,000円のサービスの月次解約率が10%だとしたら、そのサービスのLTVは30,000円となります。

ここら辺は、ユニットエコノミクスについての記事に詳しく書いているので、分からない場合はそちらをご覧ください。

徹底解説!ユニットエコノミクスとは何かが丸わかり。

非定額課金ビジネスのLTV(ライフ・タイム・バリュー)

続いて、非定額課金ビジネスのLTV(ライフ・タイム・バリュー)を考えたいと思います。

今回、非定額課金ビジネスとして想定しているのは、たとえばECサイトやSNSサイトなど、ユーザー毎の売上が固定ではなく、様々な要因で変動するものです。

そのため、定額課金モデルの場合と大きく変わる部分は、どのような状況であっても月額いくらと固定されていない点です。

ということで、モデルを考えるために、基本に立ち返ってみます。

LTVをどのように計算するのか

LTVは、将来のある時点において顧客から受け取る収益を、その時点で解約している確率で割り引いたものを、足しあげることで計算できます。

たとえば、来年、その顧客から受け取る売り上げが3,000円だけれど、来年解約している確率が10%ある場合、期待値としては、以下のようになります。

来年のARPU = 3,000円 ×(100% – 10%) = 2,700円

この要領で、将来の収益をその時点で解約している確率で割り引いて、足しあげることで、LTVを計算できるはずです。

将来の収益をどう計算するのか

非定額課金のため、将来にわたって固定の収益ではありません。

さらに言えば、今年20歳の顧客が、50歳になったときには、さらにARPUが増えているかもしれませんし、減っているかもしれません。

そこで、実際の顧客毎の売上データを年齢別にグルーピングして、各年齢における年間のARPUを計算することで、将来のある一年間のARPUを想定することにします。

以下は、完全にデタラメなデータですが、仮に実際の売上データから以下のような年齢別の年間ARPUが得られたと仮定します。

LTVを計算する

ということで、上記のデータを用いて、実際にLTVを計算してみたいと思います。以下のような例題を想定します。

今年、とある27歳の新規顧客を獲得することに成功した。この顧客のLTVはいくらだと想定することができるか?なお、当該サービスの平均的な年間解約率は8%とし、年齢別のARPUは上述のグラフの通りとする。

この問題の解き方ですが、先ほどのデータを使って、今後の各年齢におけるARPUを解約率を考慮して割り引いてやることで、今後の収益の期待値を計算します。

年齢 ARPU(年) 解約率 継続確率 収益の期待値
27 ¥3,300 8% 100% ¥3,300
28 ¥3,600 8% 92% ¥3,312
29 ¥4,100 8% 85% ¥3,470
30 ¥4,200 8% 78% ¥3,270
31 ¥4,400 8% 72% ¥3,152
32 ¥4,500 8% 66% ¥2,966
33 ¥4,800 8% 61% ¥2,911
34 ¥4,830 8% 56% ¥2,694
35 ¥4,850 8% 51% ¥2,489
36 ¥4,880 8% 47% ¥2,304
37 ¥4,300 8% 43% ¥1,868
38 ¥4,600 8% 40% ¥1,838
39 ¥5,000 8% 37% ¥1,838
40 ¥4,800 8% 34% ¥1,624
41 ¥5,200 8% 31% ¥1,618
42 ¥5,300 8% 29% ¥1,517
43 ¥5,700 8% 26% ¥1,501
44 ¥5,900 8% 24% ¥1,430
45 ¥6,200 8% 22% ¥1,382
46 ¥5,800 8% 21% ¥1,190
47 ¥5,350 8% 19% ¥1,010
48 ¥5,500 8% 17% ¥955
49 ¥5,830 8% 16% ¥931
50 ¥5,210 8% 15% ¥766
51 ¥4,800 8% 14% ¥649
52 ¥4,310 8% 12% ¥536
53 ¥4,200 8% 11% ¥481
54 ¥4,300 8% 11% ¥453
55 ¥3,800 8% 10% ¥368
56 ¥3,900 8% 9% ¥347
57 ¥3,800 8% 8% ¥311
58 ¥3,250 8% 8% ¥245
59 ¥3,300 8% 7% ¥229
60 ¥3,500 8% 6% ¥223
61 ¥3,200 8% 6% ¥188
62 ¥2,800 8% 5% ¥151
63 ¥2,900 8% 5% ¥144
64 ¥2,500 8% 5% ¥114
65 ¥2,680 8% 4% ¥113
66 ¥2,330 8% 4% ¥90
67 ¥2,400 8% 4% ¥85
68 ¥2,200 8% 3% ¥72
69 ¥2,350 8% 3% ¥71
70 ¥2,100 8% 3% ¥58
LTV(ライフ・タイム・バリュー) ¥54,266

ということで、LTV(ライフ・タイム・バリュー)は、54,266円であると計算することができました。

ここでは、いったん70歳までのみをデータとして仮定したので、そこで止まっていますが、それ以降もある場合は、そちらも期待値を計算して足せば良いということになります。

さらなる精緻化の余地

さて、今回の「非定額課金ビジネスにおけるLTVの計算モデル」を考えたことで、毎年のARPUとその時点での継続率さえ分かれば、LTVを計算することができるということが分かりました。

ということは、さらに属性を切って年齢毎のARPUのデータを出すことができれば、LTVの計算をさらに精緻に行うことができるのではないでしょうか。

たとえば性別毎の年齢別ARPUが分かっていれば、それを反映させることで、新規顧客が男性か女性かによって、それぞれのLTVを計算することが可能になります。

こうして、LTVの計算を精緻化させることによって、たとえばですが、広告を露出するメディアの読者属性に応じて、そのメディアから獲得できる顧客の平均的なLTVを計算して、顧客獲得単価の設定に反映することが可能になります。

「その通りだ!」、「ここが間違ってるよ」など、ご意見やアドバイスなどがございましたら、Twitterでいただけると嬉しいです。

また、どんどん試してみたいため、本モデルを実践に適用してみたご報告や、うちで出来ないかなどのご相談など、もしございましたら、お声掛けいただけますと嬉しいです。

よろしくお願いいたします。

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