アツシマンダイβ

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『人間の性はなぜ奇妙に進化したのか』を読みました。

      2017/11/26

『人間の性はなぜ奇妙に進化したのか』を読みました。

『人間の性はなぜ奇妙に進化したのか』は、他の動物と比べて排卵期が分かりにくく、排卵期以外でもセックスをする奇妙な生物として”ヒト”を捉え、そのような生態系になった背景を探ったジャレド・ダイアモンドの研究をまとめた本です。

『人間の性はなぜ奇妙に進化したのか』を読んだ感想

人間の行動を”奇妙”と捉える

本書の原題は『Why is Sex Fun?』(『セックスはなぜ楽しいか』)であり、直球なタイトルですが、改題『人間の性はなぜ奇妙に進化したのか』もなかなか趣のあるタイトルだと思いました(笑)。

本書で語られている、人間の奇妙な点は主に2点です。

(1)排卵期以外でもセックスをすること。
(2)二人きりで隠れてセックスをすること。

これらは、いずれも誰が生まれてくる子どもの父親かわからない状態をつくるために発達した仕組みだと考えられているようです。体内受精でいつが排卵期か分からないようにすること、そして隠れてセックスをすることで、誰が父親かを分かりづらくしているということです。

そのような仕組みが発達した理由としては、二つの説があります。

多くの父親説

多くの父親説は、まだ人類の祖先が一婦多妻(ハーレム型)だった時代に、誰が父親か分からないようにすることで、他のオスによる子殺しを防ぐ目的があったと考えられています。

例えばゴリラはハーレム型ですが、自分の子孫を効率よく残すために、他のオスの子どもは殺してしまいます。人間は、こうした子殺しを防ぐために、誰が父親か分からないようにする仕組みを発達させたのではないかという考え方です。

マイホームパパ説

やがて、人間が一夫一妻制になった後も、誰が父親か分からないようにする仕組みは失われませんでした。

その理由として有力な説が「マイホームパパ説」です。

オスにとっては、メスが妊娠すると、生物学的には家に居つづけるメリットはあまりありません。他のメスを探して、ふらふらと家を出て行ってしまう可能性があるのです。そこでメスは、排卵期を隠蔽することで、オスがもし家を留守にしていると、他のオスとセックスをして、他のオスの子どもを妊娠してしまうかもしれないと思わせることで、オスが家に居つづけるようにしたのではないかと「マイホームパパ説」では考えられています。

当たり前と思っていることを疑ってみる

このように、当たり前と思っていることを疑ってみて、どうしてそのようになったのかを社会的・生物学的な背景から考え直すという作業は、社会のあり方が次々と変化していく今のような時代において、重要さが増しています。

本書と関係の深いところで言えば、結婚制度についても、海外の先進国では婚外子の割合が5割を超えていたりと、日本とは状況が変わってきています。

いろいろな「当たり前」を疑ってみる意味でも、『人間の性はなぜ奇妙に進化したのか』はおもしろい本だと思いました。

『人間の性はなぜ奇妙に進化したのか』についての情報

紹介文

人間は隠れてセックスを楽しみ、排卵は隠蔽され、一夫一婦制である。ヒトの性は動物と比べてじつは奇妙である。性のあり方はその社会のあり方を決定づけている。ハーレムをつくるゴリラや夫婦で子育てをする水鳥、乳汁を分泌するオスのヤギやコウモリなど動物の性の”常識”と対比させながら、人間の奇妙なセクシャリティの進化を解き明かす。『銃・病原菌・鉄』の著者による性の謎解き本。『セックスはなぜ楽しいか』改題。

著者・訳者の情報

ジャレド・ダイアモンド

1937年ボストン生まれ。カリフォルニア大学ロサンゼルス校教授。進化生物学者、生理学者、生物地理学者。アメリカ国家科学賞受賞。著書『銃・病原菌・鉄』でピュリッツァー賞、コスモス国際賞受賞。同書は朝日新聞「ゼロ年代の50冊」第1位に選ばれた。他に『人間はどこまでチンパンジーか』、『文明崩壊』、『昨日までの世界』などの著書がある。

長谷川寿一

1952生まれ。動物行動学を専門とする。東京大学理事・副学長、同大学院総合文化研究所教授。日本学術会議会員。ヒト・類人猿の生活史戦略と配偶戦略などを研究テーマとしている。著書に『進化と人間行動』、訳書にジャレド・ダイアモンド『人間はどこまでチンパンジーか』などがある。

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