アツシマンダイβ

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配当割引モデルによる企業価値評価の方法

      2018/04/14

これは僕の完全に個人的な意見ですが、長期投資をする場合には、将来の配当によるキャッシュフローを目的として、配当の安定した株式を買うべきだと思っています。

シーゲル教授は、S&P500への投資を上回るためには、高配当株への投資と配当の再投資が有効であることを証明しました。

ということで、長期投資では高配当株を買えばいいと言ってしまえば、そこまでなのですが、一応バリュエーションという観点から、配当割引モデルにおける価値評価の方法を説明します。

配当割引モデルとは

配当割引モデルとは、将来に渡って株主が受け取る配当の額をもとに企業の価値を評価するモデルです。

株式を永遠に保有して売らないのであれば、株式を買うリターンは配当になるため、将来キャッシュフローとして配当を用いるというのが、配当割引モデルの考え方です。言い方を変えると、株式を永久債のように、配当を金利のように考えて、評価するということです。

来年以降の配当を、適切なレートで割り引いて、合計していけば企業価値を算出することができます。

配当割引モデルの数式

分子が配当(Dividend)になるので、数式は以下のように表せます。

P = Dividend[1]/(1+r) + Dividend[2]/(1+r)^2 + Dividend[3]/(1+r)^3 + … + Dividend[n]/(1+r)^n

定額配当モデル

定額配当モデルによる企業価値の計算

定額配当モデルは、一定の金額をずっと配当として受け取る場合です。

定額配当モデルによる株式価値は、Dividend[1]〜Dividend[n]まで、金額が変わらないため、以下のように表せます。

P = Dividend[1]/(1+r) + Dividend[1]/(1+r)^2 + Dividend[1]/(1+r)^3 + … + Dividend[1]/(1+r)^n

このままでは実用的ではないので、整理します。

両辺に1/(1+r)を掛けて、

1/(1+r) × P = Dividend[1]/(1+r)^2 + Dividend[1]/(1+r)^3 + Dividend[1]/(1+r)^4 + … + Dividend[1]/(1+r)^(n+1)

よって、「P = 」の式から、「1/(1+r) × P = 」の式を引くと、

{1 – 1/(1+r)} × P = Dividend[1]/(1+r) – Dividend[1]/(1+r)^(n+1)

となります。

永遠に株式を持って配当を受け取るため、nは無限に近くなるので、Dividend[1]/(1+r)^(n+1)は限りなくゼロに近づきます。

よって、

{1 – 1/(1+r)} × P = Dividend[1]/(1+r)

と表せます。

もう少し整理すると、

r/(1+r) × P = Dividend[1] / (1+r)

P = Dividend[1] / r

となります。

ずいぶんスッキリしました!

利用例

1株あたりの年間配当が2.3ドルの株があるとします。

5%のリターンを期待する場合(r = 0.05)、この株式をいくらで評価すれば良いでしょうか。

P = 2.3ドル / 0.05 = 46ドルとなります。

定立成長配当モデル

定立成長配当モデルによる企業価値の計算

次に、配当の金額が一定の割合で増えていく場合を考えてみます。

成長率をg(= Growth Rate)と表すことにすると、

P = Dividend[1]/(1+r) + Dividend[1]×(1+g)/(1+r) + Dividend[1]×(1+g)^2/(1+r)^2 + … + Dividend[1]×(1+g)^n/(1+r)^n

となります。

両辺に(1+g)/(1+r)を掛けると、

(1+g)/(1+r) × P = Dividend[1]×(1+g)/(1+r)^2 + … + Dividend[1]×(1+g)^n/(1+r)^(n+1)

となります。

前の式から後ろの式を引くと、

{1 – (1+g)/(1+r)} × P = Dividend[1]/(1+r) – Dividend[1]×(1+g)^n / (1+r)^(n+1)

となり、nは無限に近いので、Dividend[1]×(1+g)^n / (1+r)^(n+1)はゼロに近づきます。

{1 – (1+g)/(1+r)} × P = Dividend[1]/(1+r)

もう少し整理すると、

(r-g)/(1+r) × P = Dividend[1]/(1+r)

P = Dividend[1]/(r-g)

またまた、ずいぶんとスッキリしました。

利用例

ある株式の今年の配当が1.5ドルだとします。また、この配当は年率で5%ずつ増えていくものとします。

8%のリターンを期待する場合(r = 0.08)、この株式をいくらで評価すれば良いでしょうか。

P = 1.5ドル/(0.08 – 0.05) = 1.5ドル/0.03 = 50ドルとなります。

株式の長期リターン

さて、実際のところは、いま株を買うと期待リターンいくらになるんだろうということが気になると思います。

なので、

P = Dividend[1] / (r – g)

(r – g) = Dividend[1] / P

r = Dividend[1] / P + g

Dividend[1] / P は配当利回り、gは配当の成長率を表しているので、

期待リターン = 配当利回り + 配当の成長率

となります。

アメリカの安定した連続増配企業なんかは、これで期待リターンを判断できますね。

バリュエーションの理論と実践

もっと丁寧に学びたい場合は、マッキンゼーから以下のような本が出ています。

 - 企業価値評価