アツシマンダイβ

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過去約140年のデータは長期金利5%で米株市場のPERが最大になることを示している

      2018/04/14

今週の日経ヴェリタスに、金利と株価についての、おもしろい記事が載っていました。

金利と株価の関係

本題に入る前に、金利と株価の関係について、簡単に説明しておきます。

金利上昇は、株価にはマイナス

金利が上昇するということは、いくつかの点で、株価にとってマイナスに作用します。

ひとつは企業の財務コストが増える点です。企業は銀行から借り入れた資金を使って、日々の経営を行っているため、借り入れ金利の上昇は、企業の財務コストの増加に繋がります。これは、企業が利益を出しにくくなるということです。

また、株主資本についても、一定の資本コストが求められます。たとえば、もしリスクの少ない米国債の長期金利が3%だとして、企業に投資をしてもリターンが3%なのであれば、誰が喜んで企業に投資するでしょうか。同じリターンであれば、リスクの少ない米国債に投資するのが賢明です。つまり、リスクの低い米国債の長期金利が上昇すると、企業はそれ以上のリターンを出すことを求められるわけです。例えば、先ほどの例であれば、米国債の長期金利が3%のときには、あくまでも一例としてですが、株式投資のリターンとしては6%や7%が求められるということです。このときに、企業の利益がその分だけ伸びなければ、リターンが6%や7%になるところまで株式の価格が調整されて下落すると予測できます。

また、住宅ローンやクレジットカードローンの金利が上昇すると、消費者の消費行動にも影響を及ぼします。あまりに金利が上昇して、消費行動が減衰すると、営利活動を行う企業にとってもマイナスに作用します。

経済の拡大は、株価にプラス

一方で、金利が上昇しているということは、多くの人が将来に明るい見通しを持っており、経済が好調で、資金需要が幅広く存在するということでもあります。たとえば長期金利が4%ということは、多くの人が年間に4%以上の金利を払ってでもお金を借りたいと思っているということです。(長期金利は米国債の金利なので、実際には消費者はもっと高い金利を支払います)

つまり、長期金利が上昇するということは、少なくともその程度、あるいはそれ以上に、経済が拡大し、インフレーションが進行すると、世間は考えているということを示しているのです。経済の拡大やインフレーションは、もちろん株価にとってはプラス要因です。

そう考えると、金利の上昇は、株価にとって直接的にはマイナス要因でありつつ、金利が上昇する背景には、株価にとってプラスの環境があるという、ある種の綱引きのような状態になっているわけです。

金利がどの程度まで上昇すると株価にとってマイナスの側面が大きくなるのか

さて、本題に入りたいと思います。

どの程度まで金利が上昇すると、株価にとってマイナスの要因が大きくなってくるのでしょうか。

今週号の日経ヴェリタスの記事では、1871年1月以降の米国10年債の金利とS&P500のPERをドットプロットして、近似曲線を描いてみることによって、この問いにアプローチしています。

PERというのは、企業の利益に対して、何倍まで株が買われているかという指標です。例えば、ある企業の一株あたりの利益が1ドルのときに、株価が15ドルだったとしたら、その企業の株はPER15倍で取引されているということになります。今回の場合は、S&P500に含まれる企業全体の利益に対して、S&P500がどこまで買われているかということで、マーケット全体のPERを見ているわけです。

その結果、近似曲線によると、金利5%でPERがおおよそ15倍〜17倍まで買われて、そこが最もPERが大きい金利ということになります。もちろん近似曲線が15倍〜17倍のあたりを通っているというだけで、そこがPERの限界だというわけではありません。個別のドットを見てみると、金利5%程度で、最大でPER45倍程度まで買われていることが示されています。マーケット全体のPERが45倍というのは、さすがにバブルだと思いますが。

金利5%以上ではマルチプルコントラクションが起きやすい

このデータから、どのような知見が得られるでしょうか。

一つは、長期金利が5%程度に達するまでは、金利上昇に弱い業界やセクターを除けば、マーケット全体としてはPERが剥げ落ちるということを、そこまでは心配しなくてもいいだろうということは分かります。(ただし、あくまでも平均的なデータとしてはという意味で、個別の状況でPERが剥げ落ちることはもちろんありえます。)

逆に長期金利が5%を超えてくると、PERはズンズンと下降する可能性が高まってきます。その場合には、企業業績の伸び以上に、株を買い上がるのは得策とは言えないということです。

プロットと近似曲線のグラフを見る限りでは、長期金利が6%でPERがだいたい14倍、長期金利が7%でPERがだいたい13倍、長期金利が8%でPERがだいたい12倍くらいに見えます。(数値をもっと分かりやすくグラフ内にラベル付けしておいてくれれば…笑)

というわけで、あくまでも参考程度ですが、心に留めておくと、金利が今後上がって行ったときに役に立つかもしれないということで、メモしておきました。

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