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【レビュー】『LIFE SHIFT』(ライフシフト)を読んだ感想

      2017/11/26

LIFE SHIFT:人間は何歳まで生きるようになるか

突然ですが、2007年生まれの子どもの半数が達すると予想される年齢をご存知でしょうか

『LIFE SHIFT』によると、日本人で107歳、アメリカ人やフランス人で104歳、イギリス人で103歳、ドイツ人で102歳と、いずれも100歳を超えています

最近のテクノロジーの発展を見ていると、人間の可能性は無限にも思えますし、このような寿命の延びに関する予測は口から出まかせだとも言えないように思えます。

本書では、さらに楽観的な論者として、グーグルのレイ・カーツワイル氏の言葉が紹介されています。

このような主張をしている一人がレイ・カーツワイル氏だ。現在は、グーグルのエンジニアリング部門の責任者として人工知能研究チームを率いている人物である。カーツワイルはテリー・グロスマン医師との共著の中で、数百年の寿命を手にするための三つの重要な架け橋を挙げている。

「第一の架け橋は、医学的なアドバイスに従い、好ましい生活習慣を実践し、長く生き続けること。長く生きれば、第二の架け橋、つまりバイオテクノロジーによる医療革命が実現し、その恩恵に浴せる。そして、その後は第三の架け橋、すなわちナノテクノロジーのイノベーションに進む。人工知能とロボットが老いた体を分子レベルで修復する時代が訪れるというのだ。人間の寿命の上限は今まで考えられてきたよりずっと上だと、老齢学会の楽観論者たちは考えている。」

(『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』より)

この平均寿命の伸びが、僕たちの人生にどのような影響を及ぼすのでしょうか。

本書は、ロンドン・ビジネススクールで人材論の教授をしているリンダ・グラッドストン氏と、同校で経済学の教授をしているアンドリュー・スコット氏が書かれた本で、100年以上生きることになる人生をどのように歩めばいいかということに関する、壮大な仮説・提案のようなものです。

寿命が延びることによる行動の変化

さて、100年人生を生きる上で、どのようなことに気をつければいいかという仮説も面白いのですが、寿命が長くなることによって、私たちにどのような価値観の変化が起こるかという点についての考察も、言われてみれば思い当たるという指摘が多く、秀逸です。

大人は幼くなる?

まずは、大人が幼くなるという点です。もう少し具体的に言えば、思春期的な特徴を備えたままの大人が増えるということです。
これはなぜでしょうか。本書では以下のように述べられています。

人々は人生で移行を繰り返す結果、生涯を通じて高度な柔軟性を維持するようになる。進化生物学で言う「ネオテニー(幼体成熟)」のようなものだ。これは、動物が幼体の性質を残したまま生体になることを指す言葉である。それと同じように、大人になっても思春期的な特徴を保ち続けて、高度な柔軟性と適応力を維持することにより、一定の行動パターンにはまり込むのを避けるのだ。

(『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』より)

100年生きるとなれば、その間に多様な変化が訪れるであろうことは想像に難くありません。

過去10年を考えても、10年前の2006年といえば、まだiPhoneがなかった時代です。そんな風に世の中がとんでもないスピードで発展していく中での100年です。そこで、そうした激動の中を生き抜けるように、自分の行動パターンや思考パターンを固めなくなるのではないかということが述べられています。

世間では、若者の車離れや大きな買い物をしない、結婚しないといった話もあります。こうした事象についても、ネオテニーという観点は示唆に富んでいると思います。

人生における子育ての重要性が相対的に低下する

それから、若者が子どもを産まなくなったということも社会の課題として頻繁に耳にするようになりました。この問題についても、本書では一つの仮説が示されています。

それは、そもそも人生における子育てのウェイトが、相対的に下がっているからではないかということです。

例えば人生が60年であれば、一人の子どもを20歳まで育てるとして、そこでかかる20年という歳月は人生の実に3分の1にも及びます。一方で、人生が100年であれば、同じ20年でも、人生の5分の1ということになります。

結果として、子どもを育てるということの重要性が人生において低下し、仕事など他の活動のウェイトが上がっていると考えることもできるわけです。

結婚の意味合いが変わってくる

上記のように子育てという意味での結婚の重要性が下がると、結婚には別の意味合いが求められてきます。

それが、経済的に相互に互助するパートナーとしての役割です。

詳しくは後述しますが、100年の人生を歩むとすると、一度は身につけたスキルがいつの間にか陳腐化し、学び直しが必要となるかもしれません。あるいは、常に右肩上がりのキャリアではなく、時には仕事以外を優先してキャリアダウンを選択する局面も現れるでしょう。

そんな中で、共働きを前提として、例えば学び直しの期間を交互に取ることで、働いている方がセイフティ・ネットとなって家計を支えることができます。結婚という長期的な関係において、そういった意味合いが強まってくるのではないかと本書では述べられています。

アソーティブ・メイティング(同類婚)

さて、共働きを前提としたパートナーシップとしての結婚という観点では、本書とは直接関係がありませんが、アソーティブ・メイティング(同類婚)による格差の拡大という議論もあります。

以下は、リクルートマネジメントソリューションズによる、立命館大学産業社会学部の筒井淳也教授へのインタビュー記事の該当部分です。

まだ日本ではあまり問題にされていませんが、共働き社会が広まると、格差が広がるおそれがあるのです。事実、アメリカではすでに同類婚で経済格差が広がっているという実証結果がありますし、日本でもその兆しがあると感じています。これまでは、所得の高い男性と結婚した女性が専業主婦になる一方で、所得の低い男性と結婚した女性はアルバイト・パートで働く傾向があったため、バランスがとれていたのですが、女性が男性と同じように働ける環境が整えば、所得格差は広がる一方になるのです。しかし、現代は自由婚社会ですから、同類婚を政治介入などで止めるわけにはいきません。共働き社会にはこうしたリスクもあるということに気をつける必要があります。

(『今後の日本が迎える「共働き社会」には経済格差が広がるリスクがあります』)

所得の高い男性と女性が結婚し、共働きをすることによって、所得の低い男性と女性が結婚した家庭との格差がさらに広がる可能性があるということです。

筒井教授は、この点について、さらに以下のように述べています。

私は、現代日本に必要なのは、家族だけを頼りにする「家族主義」からの脱却だと考えています。なぜなら、家族の絆を第一と考え、家族をセイフティ・ネットにする社会では、家族が失敗したときのリスクが大きくなってしまうからです。それは、家族の善し悪しで格差が広がる不公平な社会ではないかと思うのです。

(『今後の日本が迎える「共働き社会」には経済格差が広がるリスクがあります』)

つまり、お互いをセイフティ・ネットとするパートナーシップとしての夫婦や家族の在り方からは脱却が必要だという意味では、筒井教授は『LIFE SHIFT』とは異なる仮説を提唱しています。

僕自身は、以下に述べるような観点から、この点に関して、どちらかというと筒井教授に近い考えを現時点では持っています。

結婚以外の、経済共同体(セイフティ・ネット)のようなものは生まれるか

結婚した夫婦以外の、お互いを経済的なセイフティ・ネットとした関係があり得るかという点について考えるにあたり、以前、ログミーで面白い記事が上がっていました。

高木 (中略)。僕の友達でニートのやつが何人かで家借りて、たまに日本にきて働きながら、働く奴交代して”セブニート”してるっていって。面白いなと思って。経済のバグっていうか物価基準の開きがあるうちに、そっちに行ってどんどん侵食できるなあと。

堀 セブニートっていうんですか。

高木 セブっていうかアジア。アジアニート。積極的に交代交代しつつ、ちょっと仕事して。

堀 なるほど。今は賃金格差とか、わりと負のイメージの話でキーワードとして出てくることはあるけど、全く逆で。その差を上手く利用してより生きやすい方向に持っていってるっていう、そういう事例ということですね。

高木 どんどん出ていきながら日本にも戻ってきて、ってやっていけば面白いかもなあと思っています。僕もどんどんやっていこうと思うし。

堀 海外に出ていこうという思考が強まってきたということですか。

高木 そうですね。せっかくネットで横に繋がれるのに、日本語だと「日本語」っていう限界があるし。連帯の威力が弱いじゃないですか、日本だとまだまだ。だからそっちにどんどん参加していきたいなって思いますし、日本にもそういうのを入れていきたいなというのはありますけどね。

(ログミー『違う年代の人たちとはわかりあうべきじゃない」 チームラボ・猪子氏が語る、”20世紀に侵されない”生き方』)

これは、東南アジア留学が安いというのが話の本筋ですが、その際の方法論として、交代で仕事をしつつ、東南アジアで英語を勉強したりリフレッシュをしているという意味では、まさに『LIFE SHIFT』の中で述べられているような、新しい形の夫婦のパートナーシップと同じ役割をニート同士で果たしているということになります。

また、地方に職がなくなり、若者が都会に出てくるようになったことで、昔ながらの三世代世帯が減少しています。他方で、子育て等を考えたときに、三世代世帯のメリットは計り知れません。ですから、都会に置いて三世代世帯は難しいとしても、何らかの代替的な仕組みがなければ、実質賃金も下がっている中で、共働きの核家族の負担は大きくなり、ますます少子化が進むでしょう。

最近はシェアハウスも流行っていますし、夫婦以外の形の、経済的な互助組合のようなものは、増えてくる可能性があると思います。

100年の人生を楽しむためには

100年人生において、僕たちの行動様式や判断基準が変化する可能性がある点は上記の通りです。

しかし、最も大切なのは、100年生きるとして、どのように生きればいいのかということですよね。(いまさら本題)

ということで、特に参考になった箇所を抽出してみます。

学習→労働→引退モデルの崩壊

産業革命を経て、生産力が向上したことで、僕たちの人生には「学習」という期間ができました。

つまり、赤ちゃんからある程度働けるようになったら、家計の足しになるように稼ぐのではなくて、赤ちゃんから、学校に通うというモラトリアムを経て、社会に出るようになったわけです。逆に言うと、産業革命や科学の進歩によって、ある程度の学習を経た人でなければ労働力として使えなくなってきたという側面もあると思います。

いずれにせよ、およそ15年〜20年程度の学習期間を経て、40年〜50年程度働き、10年〜20年程度の引退期間を過ごすというモデルが社会に定着しました。

しかし、寿命が延びることによって、人間は働く期間を伸ばさざるを得なくなります。

それでは、僕たちは100年生きると仮定した場合、何歳まで働くことになるのでしょうか

著者たちはロンドン・ビジネッスクールのMBAプログラムの授業で100年ライフについて話すとき、学生たちに自分の人生のシナリオを考えさせる。学生たちの頭に真っ先に浮かぶのはお金の問題だ。そこでこう尋ねるー「100歳まで生きるとして、勤労時代に毎年所得の約10%を貯蓄し、引退後は最終所得の50%相当の資金で毎年暮らしたいと考える場合、あなたは何歳で引退できるか?」

詳しくは第2章で論じるが、この場合は80代まで働くことが求められる。教室は静まり返る。長寿化の恩恵に最大限浴したければ、70代、ことによると80代まで働かなくてはならない。それが厳然たる事実なのだ。

(『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』より)

上述の通り、一般的には80代まで働くことになるだろうとの見通しが示されています。

将来の80代は、今の80代よりも全然健康で元気だと考えられますので、体力面では、きちんと運動を続けていれば、あまり深く心配する必要はないでしょう。

価値を出し続けるには、どこかで学び直しが必要

一方で、知識やノウハウといった面では、先に少し述べたように、昨今のテクノロジーの進歩の速さも考慮に入れると、義務教育や高校、大学で受けた教育の内容では陳腐化してしまって、70年にもわたる労働期間を乗り切るのは難しいだろうというのが著者たちの主張です。

人々の寿命が短く、労働市場の変化が比較的小さかった時代には、20代で知識とスキルを身につけ、その後は知識とスキルへの本格的な再投資をしなくても、キャリアを生き抜けたかもしれない。しかし、労働市場が急速に変化するなかで、70代、80代まで働くようになれば、手持ちの知識に磨きをかけるだけでは最後まで生産性を保てない。時間を取って、学び直しとスキルの最習得に投資する必要がある。

(『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』より)

どこかでダイナミックな学び直しの期間を設けないと、高齢になるにつれて、単価の低い仕事しか出来なくなり、いつまで経っても引退できない状態が続くということです。

こうした中では、金融資産だけでなく、様々な資産を把握する必要があります。例えば知識やノウハウ、仕事のための人的ネットワーク、レジリエンスを高めるための友人ネットワークといった生産性資産、それからダイナミックにキャリアを変更するための、異業種の友人といったような変身資産です。

本書では、1945年生まれのジャック、1971年生まれのジミー、1998年生まれのジェーンという3人の人物を想定し、それぞれが、こうした資産を管理しながら、どのような人生を歩めばよいか、あるいは歩める可能性があるかという点がシミュレーションされています。

企業の経営は難しさが増す

さらに、こうした中で難しさが増すのが企業の経営です。

労働者にとっては、80年間生き続ける上で、普段から常に自分の知識を更新し、時にはダイナミックに学び直しの期間を経てキャリアを継続していかなければいけません。こうした環境下では、ある企業で働くことで、将来が行き詰まりにならないかという点に、労働者は非常に敏感になってくるであろうことを著者たちは主張しており、企業は労働者のそうした面にまで関心を持って、支援する必要が出てくるだろうという仮説が述べられています。

この中で、特に興味深いのは、これまでの人材開発や能力開発というのは終身雇用を前提としていたのに対して、どうやら本書の著者たちが想定している”企業による能力開発支援”は、労働者が今の職場を離れて、新しい仕事に向かうことをも許すような支援であるという点です。例えば、以下は1971年生まれのジミーに関する人生のシミュレーションの一部です。

勤務先のIT企業はジミーの能力開発を重んじ、年に10日間を好きな内容の研修に使わせてくれる。そのおかげでこの10年間は毎年、能力開発に投資できている。1年目は、バーチャルなチームをマネジメントするスキルを磨き、2年目は、効果的なアウトソーシングの方法を学んだ。3年目は、高度なロボット工学を勉強した。このように投資を続けてきたことは、十分な恩恵をもたらしている。ジミーは仕事を気に入っている。

それでも、2021年、前のように時間を取り、次の10年かんの計画を検討する。すると、将来はさまざまな仕事のポートフォリオを築く必要があると思えた。そのためには、今から準備を開始しなくてはならないと、ジミーは気づく。そこで、いまはまだフルタイムの仕事を辞めたくないが、将来に向けて投資を始めようと決意する。

具体的には、投資の一つとして、上級レベルのプロジェクトマネジメントの研修プログラムに参加する。会社は年に2週間、仕事を休んでこの研修に参加することを認めてくれた。ジミーはそれに加えて、年に10日間、週末を返上し、現役のプロジェクトマネジャーたちが集まる合宿セミナーにも参加する。さらに、世界をまたにかけてプロジェクトマネジャーの人的ネットワークも築きはじめる。

(『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』より)

こうした観点は、リクルート社などにはあるのかもしれませんが、あまり一般的ではないように思えます。

第二の提案は、従業員が人生で移行を経験しなくてはならないこと、そして移行を成功させるために必要な変身資産を構築・維持するのが容易でないことを理解して、必要な支援を提供することだ。ほとんどの人は、キャリアのどこかで移行を経験せざるをえない。それを助けるために、企業にはさまざまなことができる。例えば、変身に必要なスキルを訓練してもいいし、活力と多様性がある人的ネットワークを築くように促してもいい。同僚からのフィードバックを通じて、自分についての知識を形成させてもいい。

(『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』より)

また、その他、週休3日制によって日頃から従業員がスキルを小まめにアップデートできるようにする必要性や、人生のステージや働き方が多様化することで、さまざまなライフスタイルに応じた契約形態が必要になってくるということが述べられています。

未来の資産管理はどうなるか

100年人生における投資の重要性

さて、資産管理という意味では、本書で提供されているシミュレーションにおいては、貯蓄した資産が少なくともインフレ率程度の年3%で増えて行くことが前提とされています。長期の米国債に投資しているというイメージでしょうか。これは言い換えると、もし本当に貯蓄しかしないのであれば、働く期間はさらに伸びるだろうということです。

時間を味方につけることが長期投資による資産形成の鉄則です。人生が長くなればなるほど、投資の重要性は増してくるでしょう。

ガソリンスタンドの店員

こちらは有名な話ですが、ロナルド・リード氏というガソリンスタンドの店員がコツコツと長期で投資し、亡くなった際には約9.7億円の金融資産に育っていたという話があります。

アメリカのバーモント州で一生ガソリンスタンドの店員や百貨店の掃除夫などの仕事をして生計を立てていた92歳の男性が他界し、その遺産を調べたら、時価にして9.7億円もの株券が出てきてアメリカ中を驚かせています。

この人はロナルド・リード氏で、ずっとバーモント州ブラットルボローという街に住み、人生の大半を、地元のガソリンスタンドの給油係、その後は地元のJCペニーの掃除夫として過ごしました。

(中略)

さて、この話を新聞で読んで僕が感じたことですが、このロナルド・リード氏ほどの資産家ではないけれど、倹約してコツコツ投資した結果、1億円を超える資産を作ったフツーの労働者階級の人というのは、実はアメリカにはゴロゴロ居ます。

(Market Hack『ガソリンスタンドの店員がコツコツ株式投資で9.7億円の遺産を残す』)

寿命が延びるということは、時間を味方につけやすいということです。年金の面倒を政府が見切れなくなる可能性なども考慮すると、投資によって長期的な資産形成をする人は日本でもさらに増えてくると思います。

無形資産の管理の在り方

以上は有形資産についての話ですが、本書では特に無形資産に焦点が当てられています。

これは先述の通り、知識などの生産性資産や、キャリアチェンジを可能にする変身資産といったものです。

こうした目に見えない資産というのはたくさんあると思いますが、ここら辺については、以前、キングコングの西野亮廣氏がおもしろいことを述べていました。

仕事の広げ方と信用の面積

その内容がログミーに書き起こされていますので、以下、引用します。

西野 というわけで、「仕事の広げ方」っていうことについて、ちょっとしゃべっていきます。これ、僕の話じゃないですけど、最近聞いて「なるほどな」と思った話があって。もともとリクルートかどっかで勤められてて、今どっかの中学校の校長先生をやられてる藤原和博さんて方、ご存じの方いらっしゃいますか?

(参照 藤原和博氏のビジネス講座「レアカードにならないと稼げない」

あの方の話がすごくピンときて、刺さったんです。その話を、ちょっとすごく難しかったんで1回ちょっとお笑いに置き換えて。

(中略)

たとえば、ここでお笑いやるんですよ。僕ずっとここでやってる。でもお客さんはどうですか? たとえば、「ご飯食べたいな」と思ったらこいつにお願いしないじゃないですか? 「野球見たいな」と思ったらこいつにお願いしないじゃないですか?他にもこんな塊がいっぱいあって、「なんかお笑い見たいな」っていうときに球が飛んできて、僕はそこでようやくご飯食べられるんですけど、これ統計取れてるんですって。1万時間やりゃ、100人に1人にはなれるんです。これはなんでもです。けん玉でも料理でもなんでもです。おむすび1万時間握ってたら、そのへんの人100人集めておむすび握らしたときに、1番にはなれるんですって。これはもうなんでもです。

でも100人に1人じゃここで飯食えないじゃないですか?

(中略)

家電でもなんでもいいです。家電をすげー勉強するんです。これも1万時間やっちゃうんです。ここでも100人に1人になるくらいやっちゃうんです。そうしたときにこの2つ兼ね備えてるやつっていうのは、100分の1×100分の1の、1万分の1ですよ。こうなったときにこいつの仕事の需要っていうか幅は、この線上じゃないですか?

たとえば「お笑いできて家電に超詳しい」ってなったら、まあアメトークの家電芸人のオファーが飛んできたりとか。仕事の需要っていうのはこの線上じゃないですか? アメトークの家電芸人が入ってきたりとか、何かわからないけど、家電量販店の営業があったらこのへんの仕事ですよね。

(中略)

いうても、これできるやつ1万人に1人くらいいるんですよ。1万人に1人じゃあんまり仕事にならないし、仕事が広がっていかない。その藤原さんがおっしゃるのは、この線じゃなくて、もう1個やるんですよ。

(中略)

この3つ兼ね備えてるやつっていうのは、まずこういう面積(三角形)ができてくる。この面積ができて、1万分の1×100分の1で、100万分の1になれる。この面積がすげー大事で、これのことを「クレジット」って呼ぶ。要は信用とか信任とか、任せる。「あなたに任せますね」っていう部分ですね。

こうしたときにこいつの仕事の幅っていうのは、急にここ(家電寄り)の仕事が入ってきたりだとか、ここ(お笑い寄り)の仕事が入ってきたりとか、ここの(新たな分野に近い)仕事が入ってきたりとか、すごい仕事の幅が広がる。このクレジット(三角形)は絶対になるべくでかいほうがいいですよ。

(ログミー『キンコン西野が「収入アップの法則」を解説 稼ぎ続けている人は何をしているのか?』)

これは本書と同じことを述べているわけではありませんが、知識などの生産性資産をダイナミックな学び直しも含めて蓄えていくことで、無形資産がでかくなり、100年人生をより楽しむことができるという意味では、方向性は似ていると思います。

『LIFE SHIFT』は壮大な思考実験

そんなこんなで、壮大な思考実験のような本書ですが、「若者の消費離れ」といった日常的に語られる観点とは違った観点で、今起こりつつある現象を捉えていたりと、とても示唆に富んでいると思います。

この内容が当たっているかという点は、今後分かってくることだと思いますが、ミレニアルズのバイブルになりうる本なのではないかと個人的には思います。

興味を持った方は、ぜひ読んでみてください。

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