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日本円はなぜ安全資産と言われるのか。対外純資産と国債残高を検証する。

      2017/11/26

最近は少し円安に振れていますが、波乱の多い2016年において日本円は基本的に円高傾向が見られます。

ニュースなどでも良く見かける安全資産としての円買いですが、日本円が安全資産といわれる理由を考えてみたいと思います。

日本の対外純資産は300~400兆円で安定して推移している

対外純資産を豊富に持つ優等生

まずは日本という国が、外国に対して、お金を貸してるのか、借りてるのかという話を考えます。

財務省発表のデータによると、日本の対外純資産は、2016年3月時点で約350兆円あります。

参考までに、過去の推移をまとめてみました。

対外純資産が300~400兆円の間で安定して推移していることが分かります。

対外純資産

ちなみに、日本がギリシャのように破たんするという話をよく耳にしますが、たとえばギリシャの2014年の対外純資産はウィキペディアによると-2,182億ユーロです。

 Ireland 2014 185.412 bil. [15] 2014 -197.878 bil. [16] 2014 −106.7[17]
 Portugal 2014 173.044 bil. [15] 2014 -193.075 bil. [16] 2014 −111.6[17]
 Greece 2014 179.081 bil. [15] 2014 -218.273 bil. [16] 2014 −121.9[17]
 Cyprus 2014 17.506 bil. [15] 2014 -28.899 bil. [16] 2014 −165.1[17]
 Iceland 2014 1,993.336 bil. kr[46] 2014 -7,936.987 bil. kr[47] 2014 −398.2[48]

ユーロ円はだいたい140円くらいでしたから、対外純資産は-30兆円ほどだったということになり、今の日本とはだいぶ状況が違うことが分かります。

つまり、日本という国は、対外国で見ると、常にお金を貸している側の優等生だというわけです。

これがマーケットで不安感が高まると円が買われる最大の理由です。

円高とデフレ

さて、通常、インフレ率と通貨の強さは逆相関にあります。

このことは、ちょっとした身近な例を考えても分かります。通貨が高いと、輸入物価は安くなります(デフレ)。通貨が安いと、輸入物価は高くなります(インフレ)。

日本の経済に重くのしかかるデフレ圧力は、円高の影響を受けているといえるわけです。

国債残高の検証

続いて、ニュース等でも、よく話題にあがる国債残高について考えてみます。

対GDP比

世界経済のネタ帳から政府総債務残高の対GDP比を拝借します。

政府総債務対GDP比

対GDP比で見た日本の国債残高は増え続けており、2010年代以降は200%を超えています。

この割合は世界で堂々の1位であり、これが日本が破たんするという話がされる際に用いられる主な根拠です。

ちなみに2位はギリシャです。

ギリシャの政府総債務残高(対GDP比)の推移

日本の国債の対GDP比が不健全であることは疑いようがありませんが、ギリシャとの比較に関していえば、先ほども述べたように対外純資産の違いに加え、日本国債は円建てで発行されて日本人に買われていることもあり、対GDP比だけを持って日本とギリシャを同列に語るのはナンセンスだと思います。

多額の対外純資産をかかえる日本は、前回のたとえ話を使うなら、ジョセフ・ジョースターではなく、ジョナサン・ジョースターです。

日本でソブリン危機(=公的債務危機、政府債務危機)は起きえないのです――対外純資産がある限りは。

対外純資産④-世界の対外純資産ランキング

「ギリシャと同じになっては大変だ」ってまだ叫んでいる元財務大臣経験者の方がいらっしゃいますが、ギリシャは、ギリシャ発行の国債のうち、ギリシャ人が買っているのは3割です。残り7割は、ギリシャ人が買ってくれなくてしょうがないから国債相場に出す。国債市場はお金持ちがみんな、「ギリシャ人や政府は信用できない」って眉に唾付けてみてるもんだから、誰も買わない。

だからギリシャはその金利を上げにゃいかん。ちなみに現在は13%。日本は0.9%から1.0%です。13倍から15倍違うんですよ。したがって、日本という国は間違っても、日本の政府が借金しているのであって、みなさんが借金しているのではない。

麻生太郎氏による「日本の借金」の解説が超わかりやすい 「経済をわかってない奴が煽っているだけ」

対個人金融資産比

さて、麻生大臣も言っているように、日本の国債は日本円建てで発行されて、日本人が買っています。

つまり、国債の安全性、ひいては日本政府のファイナンス的な安定性についていえば、日本政府の国債残高と日本人の金融資産を比較すれば良いと考えられます。

日本人が、日本人の金融資産で、日本の国債を買っている限りは、対外純資産には影響はないからです。

日本人が日本国債を買えなくなったらではなく、日本人が日本国債を買わなくなったらという想定もありえるかもしれませんが、マイナス金利でも買われていますので、いったんは置いておきます。

財務省によると、日本の公債残高は28年度末に838兆円に達する見込みです。

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続いて家計金融資産ですが、ガベージニュース様からグラフを拝借します。

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グラフを見ると、個人の金融資産は約1,700兆円、つまり国債残高の約2倍あることが分かります。

現金・預金で見ると約800兆円なので、ネットするとやや不足するくらいですが、すべてを一気に借り換えることはありえないので、問題にはならないでしょう。

日本国債が投資対象としての魅力を失った場合

さて、そうするとバランスシート的には特に問題はなく、基本的に問題視すべきなのは、先ほどいったん置いておいた「日本人が日本国債を買わなくなったら」というケースです。

さらに言えば、膨大に膨れ上がった国債残高の金利が上がり始めたときにキャッシュフローが成り立つのかという点です。

現在はマイナス金利でも買われるほど需要があるわけですが、金利が上がり始めると、国債は下がり始め、銀行はキャピタルロスを出すことになります。

そうした状況が起きたときに、国債が本当に買われるのか、問題なく借り換えが行われるのか、国債の金利がどんどん急騰して、政府の財政が立ち行かなくならないか、そういった点は気にしておく必要があると思います。

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